エンジニアの採用は、もはや新卒一括採用だけでは十分とはいえない時代になりました。通年採用を導入する企業が増える一方で、その実施にはさまざまな課題がつきまといます。本記事では、エンジニアの通年採用における課題を具体的に解説し、効果的な対策と、それぞれの施策がもたらすメリット・デメリットを詳しく分析していきます。
1. 国内エンジニア採用の現状と課題
日本の技術産業は急速な発展を遂げていますが、それに伴いエンジニア不足が深刻化しています。多くの企業がデジタル化やIT化を進める中、質の高いエンジニアの需要が供給を大きく上回っているのが現状です。この状況下で、採用コストは高騰の一途をたどっており、特に中小企業にとっては大きな負担となっているといわれています。
大手企業との競争も激しさを増し、優秀な人材の確保がますます困難になっています。さらに、技術の進歩が速いIT業界では、常に最新のスキルを持つエンジニアが求められるため、人材の質と量の両面で課題が山積しています。
2. 通年採用とは
通年採用とは、特定の時期に限定せず、年間を通じて随時採用活動を行う方式です。必要な時に必要な人材を確保することができ、企業の柔軟な人材戦略を可能にします。
2.1 従来の新卒一括採用との違い
従来の新卒一括採用が、主に学生の就職活動時期に合わせて行われるのに対し、通年採用は時期を問わず人材を募集します。新卒一括採用が新卒者を中心としているのに対し、通年採用では経験者や転職者など幅広い層からの採用が可能です。
また、新卒一括採用が長期的な人材育成を前提としているのに対し、通年採用では即戦力の確保も視野に入れられるでしょう。この柔軟性により、企業のニーズにより適した人材を、適切なタイミングで採用できる利点があります。
3. エンジニアの通年採用のメリット
エンジニアを通年採用するメリットには主に以下が挙げられます。
3.1 多様な人材からの応募
通年採用を行うことで、さまざまなバックグラウンドを持つ人材との出会いが期待できます。新卒者だけでなく、他業界からの転職者や、独学でスキルを磨いた人材など、多様な経験や視点を持つエンジニアを採用できる可能性が高まります。
3.2 必要なタイミングで採用可能
事業の成長や市場の変化に応じて、適時に必要な人材を採用できる柔軟性があります。プロジェクトの立ち上げや新技術の導入など、企業のニーズに合わせてタイムリーに人材を確保することができます。そのため、ビジネスチャンスを逃さない体制を整えられるでしょう。
4. エンジニアの通年採用のデメリット
メリットがある通年採用ですが、以下のようなデメリットも挙げられます。
4.1 採用コストの増加
年間を通じての募集活動により、採用に関連するコストが増大する可能性があります。具体的には、採用広告費や就職イベントへの出展費用、人材紹介会社への手数料などが挙げられるでしょう。また、採用担当者の人件費も継続的にかかります。これらのコストは、特に中小企業にとっては大きな負担となる可能性があるでしょう。
4.2 採用活動の難化
エンジニアの需要が高まり続けている現状では、通年採用を行っても即座に適切な人材を見つけられるわけではありません。むしろ、常に採用活動を行う必要があるため、社内の採用担当者の負担が増大します。面接や書類選考などの採用プロセスが継続的に発生し、本来の業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。また、長期間にわたって適切な人材が見つからない場合、採用基準を下げてしまうリスクもあります。
4.3 内定辞退のリスク
通年採用では、選考期間が長期化する傾向があります。そのため、内定者が他社の選考を並行して受ける可能性が高まり、結果として内定辞退のリスクが増加します。特にエンジニア不足が続く現在の状況では、優秀な人材ほど複数の企業から内定をもらいやすく、最終的に他社を選択される可能性が高くなるでしょう。内定辞退が発生すると、それまでの採用活動が無駄になるだけでなく、急遽代替の人材を探さなければならなくなり、さらなる時間とコストがかかってしまいます。
また、通年採用では、入社時期が不定期になるため、新入社員の教育やチーム編成に柔軟性が求められます。これは、既存の社員の業務に影響を与える可能性があり、組織全体の効率性を低下させるリスクもあるでしょう。さらに、採用活動が常時行われることで、人事部門だけでなく、技術部門の管理職も頻繁に面接や評価に時間を割く必要があり、本来の業務に集中できなくなる可能性もあります。
5. オフショア開発の導入を検討する
ここでは、オフショア開発の概要と導入することによる主なメリットをご紹介します。
5.1 オフショア開発とは
オフショア開発とは、自国以外の海外の企業や開発者に、ソフトウェア開発やITサービスの提供を委託する方法です。オフショア開発には多くのメリットがあります。まず、コスト削減です。人件費の安い国に開発を委託することで、大幅なコスト削減が可能になります。
次に、人材不足の解消です。国内でエンジニアの採用が難しい場合でも、海外の豊富な人材プールから適切なスキルを持つ開発者を確保できます。さらに、24時間開発体制の構築も可能です。時差を利用することで、継続的な開発進行が実現します。
特筆すべきは、これらのメリットが前述のエンジニア通年採用のデメリットを解消できる点です。採用コストの増加や採用活動の難化、内定辞退のリスクといった問題に悩まされることなく、必要なスキルを持つ人材をすぐに確保できます。また、プロジェクトの規模に応じて柔軟にリソースを調整できるため、企業の需要に合わせた効率的な開発体制を構築できるでしょう。
6. バランスの良いフィリピンがおすすめ
オフショア開発先として、フィリピンは特におすすめです。フィリピンは、費用対効果と開発力のバランスが非常に良好です。まず、英語が公用語の一つであるため、コミュニケーションの障壁が低いです。また、日本語教育も盛んで、日本語を話せるエンジニアも多く存在します。
技術面では、フィリピンのIT教育は充実しており、質の高いエンジニアを多数輩出しています。さらに、フィリピンは地理的にも日本に近く、時差も1時間程度と小さいため、リアルタイムでのコミュニケーションが容易です。
文化的にも、フィリピン人は日本人と親和性が高く、勤勉で協調性があるとされています。これは、長期的なプロジェクト運営において非常に重要な要素です。また、フィリピンの物価は比較的安いため、コスト面でも大きなメリットがあります。
これらの要因から、フィリピンはオフショア開発先として総合的に高い評価を得ており、多くの日本企業が成功事例を報告しています。
7. まとめ
エンジニアの通年採用は、多様な人材の確保や必要なタイミングでの採用を可能にする一方で、採用コストの増加や採用活動の難化、内定辞退のリスクなど、いくつかの課題も抱えています。これらの課題に直面している企業にとって、オフショア開発は効果的な解決策の一つとなり得ます。オフショア開発を導入することで、国内のエンジニア不足や高騰する採用コストの問題を回避しつつ、必要な開発リソースを迅速かつ柔軟に確保できるでしょう。特に、フィリピンは言語面、技術面、文化面でバランスの取れたオフショア開発先として注目されています。自社の状況や目的に応じて、通年採用とオフショア開発を適切に組み合わせ、最適な開発体制を構築することが重要です。